セカンドステージ最終戦の柏戦を見れば明らかなように、負けない鹿島のディフェンスが相手である以上、とにかくFマリノスは何としてでも先制点が欲しかったはず。「まずは守りから」という鹿島に対する、そのモティベーションの差が試合開始早々の積極的な攻撃に見られたと思う。第1戦に比べ、やや前の方でプレーする中村俊輔。鹿島のボックスディフェンスにつぶされるのも覚悟の気迫の攻めだった。しかし、その立ち上がりに、それを得点という結果に結びつけることができなかった以上、リスクを冒したマリノスの戦略は、リターンを得ることなく逆にリスクが現実のものとなることに。
前半も20分過ぎ、中村からのインターセプトされたボールが鹿島の先制点につながるカウンターのきっかけに。MVPを獲得した小笠原満男から、金髪の鈴木隆行、そして柳沢とのワンツー。最後は、鈴木が左から川口の守るゴールへ弾道を低く抑えたシュートを叩き込む。0-1。相次ぐレンタル生活を過ごしたストライカーの大きなアピールとなる一発だった。サポーターは、試合を通して終始「隆行コール」を繰り返した。金髪の彼がボールを持つとスタジアムに緊張が走った。鈴木が水を得た魚のごとくゴール前を脅かした。効率的なディフェンスと効率的な攻撃。今日も鹿島のペースが始まった。
はっきりいって、0-1になったこの時点で、横浜は通常の試合における一点差とはまったく違う不利な状況に立たされた。というのは、相手が1-0でも十分勝てる鹿島だからだ。後で知った今年の鹿島GK高桑の防御率はなんと脅威の0.99。これは高桑の実力だけでなく、鹿島の強いディフェンスを示すバロメーターと言ってよいはずだ。こうして、1点リードしたことは鹿島にとってはチャンピオン獲得へかなり近づいたことを意味した。
ボールを持った、エジミウソンがチームメイトに「上がれ上がれ」と両手をかかげて大きなジェスチャー。しかし、鹿島の組織されたゾーンディフェンスは、段階的にFマリノスの攻撃力を殺ぎ落としていく。横浜が攻撃を展開するのとは反対側の、横浜サポが陣取るゴール裏から観戦していた私ですら分かる気迫をエジ(ミウソン)から感じとるができたが、それも功は奏さず。逆に、パスを出すチームメイトの上がりに期待し檄を飛ばすエジミウソンが所属するチームとは対照的に、スペースに向かってボールを出す選手とスペースに向かって走りこむ選手の集合体である鹿島スタイルが、名良橋の値千金の追加点をもたらすことに。
0-2。先制点を取られた以上、鹿島相手ならば予想された展開だった。こうなった以上、横浜はとにかく、まず1点が欲しかった。観ている人間にとっても、1点入れば1点差。まだ十分チャンスを信じることができた。しかし、中田浩のセンタリングミスはGK川口のキャッチングミスを誘う結果となり、それは、94年W杯のゲオルゲ・ハジを彷彿とさせるゴールシーンとなってしまった。川口のすぐ背後のゴール裏で落胆するマリノスサポ。呆然と立ち尽くす川口と、それに背を向けて気持ちを切り替えようとするマリノス攻撃陣。しかし、3点差は決定的なものだった。