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「安藤正純の特別コラム vol.25」
こんな報道もありなのかぁ?と深く考え込んでしまった!
安藤正純=文・写真
text & photograph by Masazumi Ando
2005年11月25日
不肖・安藤、ただいま帰国いたしました!(どこかで聞いたフレーズだな。大好きな宮嶋茂樹カメラマンのパクリじゃないか)
3ヶ月のヨーロッパ滞在中は3カ国、22都市を回り、計26試合を観戦した。愉快・不愉快・痛快・痛飲・成功・失敗を繰り返しながらも、有意義な生活を送ることができたのはこの上ない幸せだったと感謝している。
日本に戻ったいまは、いつもの生活サイクルを取り戻し、以前のように大手日刊紙や少し破廉恥な夕刊紙を読み漁り、玉石混交のインターネット情報に接している。職業柄、情報が命だけに、どんな種類のものでも目を通さないと気がすまない性格なのだ。
日本の情報は滞在中でもつねにチェックしていた。新聞は大きな駅だったらたいてい、日経と朝日が購入できる。両紙の販売網は読売のそれを上回る。値段は日経がもっとも高く、朝日がその次。読売がいちばん安い。新聞の値段は1部630円〜450円。高いネェ…。でも日本語の新聞はこれしかないんだから、我慢して買うしかなかった。
しかし24ページ建てなんて、あっという間に読みきってしまう。なにしろ、株式欄、社説なんか見ないし、肝心の記事自体が広告の山に埋もれているので文章の量が少ない。だから1時間も過ぎれば、暇つぶしに2度目、3度目とページをめくることもあった。なんとも間抜けな話だ。
それに対し現地の日刊紙は事情がまったく違った。高級紙も大衆紙も総じて広告が少なく、上から下まですべて記事で埋まっている。高級紙は写真が少なく見出しも控えめなので、さらに読み応えがある。大衆紙とて基本的には全ページがカラー印刷。おまけに値段も50セント(70円)前後。バカみたいに安く感じた。
広告が少ないのはインターネットの普及による影響だ。2年ほど前、高級紙FAZ(フランクフルター・アルゲマイネ)はそれまで34名いたスポーツ部の記者を大量解雇、25人にまで減らした。同じく高級紙の南ドイツ新聞も多くの有能な記者を「社の経営上の理由により」、家庭を持っているとか住居を新築したなど一切の事情を考慮せず、大幅に人員を減らした。
大衆紙も同じ波に洗われた。その結果、生き残った記者への負担が増え、どのページをめくっても同じ記者の署名記事が目に付くようになっている。インターネットが普及する以前の週末版は、大量の広告のおかげで厚さが3センチにも4センチにもなっていた。それが今では1センチあるかどうか。これが時代の流れというわけだ。
さてその中身だが、最近、改めてドイツマスコミの執拗さを思い知らされたことがある。スポーツ欄はほぼ7〜8割がサッカー関連のニュースで埋め尽くされている。少ない人数でよくもあれだけ大量の記事を集めてくるものだと関心するが、どうもその内容がよろしくないのだ。
あくまでも大衆紙の話ではあるが、とにかくガセネタが多い。そして面白いネタがなくなると選手の私生活に踏み込んだ記事が目立ってくる。例えばこういうものだ。
『日曜日の午前、バイエルン・ミュンヘンの選手が家族同伴でレストランに行った』
何の変哲もない記事だと思うなかれ。この先が問題なのだ。
『前日のブンデスリーガで辛勝したチームを慰労するため、クラブは市内の有名レストラン"ケーファー"に選手や家族を招待し、ブランチを共にした。このレストランは通常、日曜は休みだが、バイエルンのためにと特別にオープンした。もちろん客はバイエルン関係者のみ。肉、魚、パスタ、寿司と料理が揃い、思い思いに舌鼓を打つ』
なんだ、別にどこも問題ないじゃないか。確かにそうである。ただし、写真がなければ、の話である。
そうなのだ。この記事にはドカーンと大きな写真が掲載されていたのだ。店のロゴがはっきり分る写真、そこへカーンとダイスラーが入店する写真、そして極めツケがバラック一家がいそいそと店に向かって歩いている写真である。
ひときわ大きなその写真の構図はこうだ。いちばん先頭を歩くバラック本人、左手にはベビー籠を持ち、右手は次男坊の手を引いている。すぐ後ろは夫人が長男の手を引いている。2人の間に入る形で、マガート監督夫人が生後間もない愛娘を抱きながら、スター一家に寄り添っている。
キャプションでは2人の夫人、4人の子供とも実名が紹介されている。幸いに長男、次男の顔写真にはモザイクがかかっているが、幼稚園にも通っていない幼子の名前を新聞で出してよいものかどうか…。
デビッド・ベッカムはかつてロンドンのイエローペーパーにしつこく追われていた。レストランで何を食べた、何を飲んだかを事細かく紹介されたものだ。多くはガセネタで他愛無い内容だったが、人が何を食べ、誰と一緒に街を歩いているかなど、完全にプライベートの世界で他人から干渉される筋合いではない。
仮にバラックが来季マンチェスター・ユナイテッドに移籍したなら、ミュンヘンの新聞以上にバラックと家族はプライベートを暴かれることだろう。
そういうわけでバラック一家のパパラッチ写真に本人と家族がどう反応したのか、大いに気になる。まさか、マンU入団後の新たな環境に慣れるための一種のトレーニングだったとか?
(次回に続く)
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